御曹司たちの溺愛レベル上昇中


***


それぞれ、終わる時間が違うだろうからって帰りは別々になり、わたしは一番乗りに帰宅。

一度、手を洗ってからそのまま共有ルームのソファへともたれ、天井を見上げた。


「……すごいなぁ」


文化祭一日で御曹司三人が告白されるって。

わたしなんて、呼び出しされたことないもの。呼び出すことや紙を入れたりも。
だから告白する側もされる側も、すごいって思う。


──"……その、文化祭終わったら、小鳥遊くんに、言おうと思って"


もう、咲ちゃんは颯くんに気持ちを伝えたのかな。


……なんて、なんでわたし──



「何がすごいって?」

「っ!?颯くんっ」


天井を見ていたのに、颯くんの顔がひょっこりと現れ、驚いてソファから飛びのいた。
そんなわたしを見て、颯くんは訝しげな顔をする。


「……なんだよお前、今日変だろ。具合でも悪いのか?」
「え?」
「ソワソワっていうか、落ち着かないみたいな。うまく言えないけどそんな感じがすんだよ。何かあるなら言ってみろ」


だって……どうだったの?なんて、聞けるわけない──わたしはただの同居人で友達なんだから。


「ははーんお前、俺が告られること知ってたとか?」

「え、い、いや……」
「は?図星?」


颯くんは冗談のつもりだったんだろうけど、わたしが目をそらしたことが逆に肯定するような形になり、顔を上げる前に額をはじかれた。


「いっ」

「ばーか。……断ったっつの」



こと、わった……。
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