御曹司たちの溺愛レベル上昇中
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それぞれ、終わる時間が違うだろうからって帰りは別々になり、わたしは一番乗りに帰宅。
一度、手を洗ってからそのまま共有ルームのソファへともたれ、天井を見上げた。
「……すごいなぁ」
文化祭一日で御曹司三人が告白されるって。
わたしなんて、呼び出しされたことないもの。呼び出すことや紙を入れたりも。
だから告白する側もされる側も、すごいって思う。
──"……その、文化祭終わったら、小鳥遊くんに、言おうと思って"
もう、咲ちゃんは颯くんに気持ちを伝えたのかな。
……なんて、なんでわたし──
「何がすごいって?」
「っ!?颯くんっ」
天井を見ていたのに、颯くんの顔がひょっこりと現れ、驚いてソファから飛びのいた。
そんなわたしを見て、颯くんは訝しげな顔をする。
「……なんだよお前、今日変だろ。具合でも悪いのか?」
「え?」
「ソワソワっていうか、落ち着かないみたいな。うまく言えないけどそんな感じがすんだよ。何かあるなら言ってみろ」
だって……どうだったの?なんて、聞けるわけない──わたしはただの同居人で友達なんだから。
「ははーんお前、俺が告られること知ってたとか?」
「え、い、いや……」
「は?図星?」
颯くんは冗談のつもりだったんだろうけど、わたしが目をそらしたことが逆に肯定するような形になり、顔を上げる前に額をはじかれた。
「いっ」
「ばーか。……断ったっつの」
こと、わった……。