御曹司たちの溺愛レベル上昇中
▶▷荒れるシェアハウス
すぐ目の前で……響くんの綺麗な顔が視界に広がっていて、柔らかな感触……それを感じた瞬間──
バサッ、と床に何かが落ちる音がして、わたしは急に後ろへと引かれ、響くんはソファへと勢いよく倒れた。
「何してんだっお前!!」
颯くんに押された勢いなのか、だけど響くんは平然としている。
わたしを後ろへ引いたのは雪さんで、そのまま回された手がわたしを包む。
「なにって、ライバルが家の中にいるんだもん、見せつけておこうと思って。……譲らないっていう宣戦布告ですよ」
「にしたって……!!順序ってもんがあんだろ!」
「怒るなら自分もすればいいじゃない。する勇気があるなら、ですけど。今までの関係のまま進めないでいるから、先を越されたんでしょ?」
「っ……」
颯くんと響くんが言い合う姿は見えていたけど、ほとんどわたしは聞いていない。
聞けていない、の方が正しいのかも。
響くんに何をされたか、雪さんの腕の中でやっと理解が出来はじめたから。
「……颯も響も、少し冷静になろうよ。気持ちは、俺も分かるけど」
いつもより冷静さのかけた、早口の雪さん。
「ごめんね、琉衣ちゃん。先に部屋に戻っててもらえる?」
「……はい」
まだ頭がふわっとした中、わたしは部屋に戻った。