御曹司たちの溺愛レベル上昇中
▶▷公認
ドアが開き、閉じた──
ただそれだけのことに、なんの物音もたてなくなるわたしたち。
近付いてくる足音に息をのめば、開きっぱなしだった廊下からのドアから、
小鳥遊グループの社長──お父様が顔を出した。
「こんに──」
「うわっ!!」
「颯くん…!!それは失礼すぎですっ」
「俺部屋戻りたい……」
「雪兄さん、だめそれも!」
挨拶をしようとすれば汗を浮かべる御曹司たちに遮られ、そんな姿をお父様はただ見つめ、小さく息を吐きながらソファに座るよう促す。
移動しながらお父様の姿を見れば、三兄弟の父親なのかと疑いたくなるくらい若い容姿。
村田さんもだったけど、とても綺麗なスーツに革のバッグ……。それにすごいオーラがビシビシ伝わってくる。
……それもそうだ。大企業の社長さんだもの。
ソファに座り一対四で向かい合うと、わたしは改めて挨拶をやり直した。
「はじめまして、小柳琉衣と申します。シェアハウスへの同居について、本当にありがとうございます」
立って頭を下げれば、穏やかな返事が返ってきた。
「いえいえ、どうか顔を上げて。お座り下さい」
にこやかにどうぞ、と言われ座り直すとお父様はまた笑った。
「うん、村田から聞いていた通り礼儀のある優しそうなお嬢さんだね」