御曹司たちの溺愛レベル上昇中
「もう大丈……ぶ、か……って」
小鳥遊くんはわたしの後ろを見て固まってしまった。そしてわたしから後退り離れていく。
「え?」
なんだ思いと振り返れば──
「颯くんサイテー」
ドアの前で、響くんが冷めきった目で小鳥遊くんを見ていた。
すかさずわたしは響くんのもとへ行く。
「違うのっこれは嬉し泣きで泣いてしまって……小鳥遊くんは悪いことなにもしてないよっ」
「ふうん」
響くんの目は変わらないままだ。
だが小さなため息と同時に響くんは普通の顔つきに戻った。
「……悪い意味じゃないならいいです。とりあえず上がりますね。僕が来た理由は、言わなくてももう聞いてるでしょう?」
「う、うん。響くんまで、ごめんなさい。休みの日に」
小鳥遊くんと同じように涼しい顔で腕まくりをする響くん。
「別に気にしてません」
「ウソつけっ来るの遅かったじゃんか!」
ずっと黙っていた小鳥遊くんが口を開き響くんに指をさした。
だけど響くんは何も言い返さない。
「俺と出れば良かったのに、先に出て後から来たのは迷ったからだろ」
「僕が道に迷うわけないでしょ?」
「道じゃねぇ。手伝いに行くか行かないか、だ!最初はばっくれようとしたけど、村田から言われたしそういうわけにも……あぁでもなぁ……って」
「っ……」
あからさまに響くんが顔を歪めた。
これは……図星ってこと?