バツイチナースですが、私を嫌っていた救急医がなぜか溺愛してきます

食事が終わって帰りかけたらシェフまでが見送りに出てくれたので、佐和が礼を言う。

「ごちそうさま、とても美味しかったわ」
「またどうぞお越しくださいませ」

レストランから出ようとドアを開けたとたん、香耶は会いたくない人物と遭遇してしまった。

「もしかして、お義姉さん」

ヒールが高い靴なのか、小柄な麻友が香耶と同じ視線で目の前に立っている。
そばにいるのは友人たちだろうか。義姉(あね)という麻友の言葉に、興味深そうにこちらを見ている。

「麻友のお義姉さんなの」
「そんな人、いたっけ」

麻友はもう大学を卒業しているはずだ。
友人たちも社会人だろうに、言葉使いが幼稚に思える。

「失礼します」

レストランの入口で騒ぐわけにもいかないから、香耶は佐和を促して麻友たちの横を通って外に出た。
なぜか麻友たちもついてくる。

「東京にいたの」
「ええ」

放っておいてほしいのに、麻友は絡んでくる。

「義姉はねえ、お金持ちと結婚してたんだけど相手の人に捨てられちゃったの」
「あらあ、かわいそう」
「ほら、こんな地味な人でしょ、旦那様が別の人を選んだのよ」

それは夫の方が浮気したと言っているようなものだが、麻友の口は止まらない。





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