メガネを外したその先に

glasses2

【高校一年・春】


窓から差し込む陽の光を浴びて、龍弥先生の髪がほんのり茶色味を帯びる。

テキストを見下ろすと分けられた前髪がメガネに掛かりそうになって、それを無造作に掻き上げる仕草が堪らなく好きだ。


「Family life in the United States is…」


薄めの唇から紡がれる流暢な英語に聞き惚れていると、メガネ越しに先生の瞳が私を捉えた。


ドキッと心臓が大きく音を立てる。

教卓を離れて私の方へ真っ直ぐ歩いてくる先生に、目の前の出来事が夢なのではないかと錯覚した。