メガネを外したその先に
伝票を手にした先生に、今日の時間も終わりなのだと告げられて寂しさが込み上げる。

二十歳になった大人がこんなところで駄々を捏ねるわけにもいかず、渋々頷きながら先生の後を追うようにしてお店を出た。


「はい、先生」

「いらない」


まとめてお会計をしてくれた先生に自分が食べた分の現金を差し出すが、受け取ってもらえない。


「なんで」

「元教え子からもらえねぇわ」


理由はやっぱり“元教え子”だからで、その壁はなかなか越えられない。
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