メガネを外したその先に
「大橋先生」


この先の曲がり角を曲がれば職員室というところまで来て、廊下に響いた声に足を止める。


「受け取ってください」


壁越しにチラリと覗き込めば、三人の女子生徒のうち真ん中に立っている子が、真っ赤な顔で龍弥先生に可愛らしいラッピングの施された袋を差し出していた。


身を潜めるようにして、彼女たちの様子を伺う。

鞄を抱きかかえる手に、無意識に力が籠ってしまう。


「悪いけどもらえない」


聞こえてきた龍弥先生の答えに、少しだけ安心する。
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