天色ガール【修正版】



「お前、なんで“天色”を抜けたんだ」




 ──天色(テンショク)



 天色というのは、全国No. 1の暴走族のこと。


 主に薬、恐喝、強姦、集団リンチなど汚いことをする族を潰している。


 そしてあたしはつい最近まで、“男”としてその族の総長をやっていた。



「……ごめん。言えない」



 暁たちには理由を話さないと決めている。


 これ以上、あたしの問題に彼らを巻き込みたくはない。



「…………わかった。でも迷惑なんて思わないで、辛くなったらちゃんと言えよ? みんなお前のことが大切で、心配なんだ」


「……ありがとう」



 こういう時、いつも暁は無理やり聞き出そうとしない。


 そんな優しい彼の悲しそうな表情を見たくなくて、あたしは自分の足先に視線を落とした。



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