リベンジ溺愛婚~冷徹御曹司は再会した幼馴染を離さない~
つらいこともたくさんあったけれど、心が腐らないよう無理やりにでも自分を奮い立たせながら前向きに頑張って生きてきた。
そういう面では子供時代よりもたくましい性格になったように思う。
「涼成くんは変わったよね」
すぐに気付けなかったほど見た目が大きく変わった。それに、性格も。
子供の頃の涼成くんは隣にいるだけで安心できるような温かみのある人だった。それなのに、大人になった彼が纏う雰囲気は隙がなくピンと張りつめているし、話し方も感情があまりこもっておらず、冷たさすら感じてしまう。
それに、私の呼び方も変わった。子供の頃は〝柚ちゃん〟と親しみを込めて呼んでくれたのに。
名前を呼び捨てにされるのはあの頃とはもう違うのだと言われているような気がして物寂しさを覚えてしまう。
「変わらざるを得なかったからな」
食べる手を止めて涼成くんがふと口にした。その表情に影が差す。
会えなかった十六年の間に私の生活が一変したように、彼にもなにかあったのだろうか。