幼馴染の御曹司との契約結婚には秘密があって!?
交換条件
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「どうしたの、柚葉。すごく疲れてるみたいだけど」
「わかる?」
「うん。五歳ぐらい老けた顔してる」
「老けた……」
そう指摘されて窓ガラスに視線を向けると、げっそりとした顔をした自分が映っている。
静かにため息をこぼしたあとストローに口をつけ、アイスコーヒーを吸い込んだ。
今日は月曜日で出勤日。同期の鶴崎美紅と社員食堂でランチをしている。
美紅は美味しそうな定食を頼んだけれど、私は自宅で作って持参したおにぎりのみ。飲み物は貯めていたポイントで安く買えたコンビニのアイスコーヒーだ。
「なにかあった?」
美紅が心配そうに私の顔を覗き込む。
なんでもないよ、とごまかしたいところだけれどついため息がこぼれてしまった。
私の見た目が疲れていて、五歳くらい老け込んで見える理由。
それは間違いなく金曜日の夜に街中でばったり再会して、自宅マンションに連れて帰ることになった涼成くんが原因だ。
「実は金曜日の仕事終わりに……」
十六年振りに再会した子供時代の知り合いを家で匿うことになった。美紅にそう打ち明けようとして言葉を止める。