冷血硬派な公安警察の庇護欲が激愛に変わるとき~燃え上がる熱情に抗えない~
しかし警察が嫌いなわけではない。

警察組織全体に対して不信感を抱かずにすんだのは、葬儀の時にひとりだけ、申し訳なかったと葵に謝ってくれた刑事がいたからだ。

今は警視正の階級まで上り、活躍中のその人は――。

「お待たせしました、ナポリタンです」

夕焼け色のスパゲティの麺に、ピーマンの緑とウィンナーの赤が映える。

シンプルだが湯気立つナポリタンはとても美味しそうで、正義感についてはいったん頭の隅に寄せ、フォークに麺を絡ませた。

(んっ、美味しすぎる!)

夢中で半分ほどを食べた時、「あっ」と驚いているような声がした。

奥のお手洗いから出てきた様子の若い女性が口に片手をあて、多野元の横で足を止めている。

出来立てのオムライスを口にしていた多野元も、女性に気づいて驚いていた。

「あなたは先日の――」

「はい。本屋ではぶつかってすみませんでした。その前は道端でも。同じ週に三回も会うなんてびっくりしました」

「僕もです。この店にはよく来るんですか?」

「たまに。近くに私の通う大学があるので」

「それじゃ僕の後輩だ。いやー、偶然が重なって嬉しいな」

気になった葵は、フォークを口に運びながらチラチラとふたりを見ていた。

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