春待つ彼のシュガーアプローチ
「俺自身を見てくれるところ。それから、媚びたり擦り寄って来たりせずに対等に接してくれるところ…かな」


「それって私に限らず他の人たちもみんな同じなのでは?」


「残念ながら俺に近付いて来る女は外見目当てで、何でもかんでも全肯定してくるようなヤツばかりだよ」


冷たく苦笑する氷乃瀬くんの瞳には色がなくて、なんだか悲しそうにも見える。


前に鮎川くんから学校を休んだ氷乃瀬くんにプリント類を届けて欲しいとお願いされた時。


女子に頼むのはトラブルの元になるから避けるようにしているという担任の先生の話を聞いた。


きっと、氷乃瀬くんの口からそんな言葉が出てしまうぐらいには、過去に色々な出来事があったんだろう。


「でも陽咲は違った。前に図書館の奥の部屋で居眠りしていた時、俺のこと睨みながら冷静に注意しただろ?」


「それは、図書委員として利用目的もなく居眠りしているだけの生徒を看過できなかったからで…」


「例えばあの時に別の女に見つかっていたら“寝顔が可愛い”とか“図書館で居眠りする姿もカッコいい”みたいなこと言われるんだよ」


な、なるほど...。


いつも氷乃瀬くんの周りに集まってる女の子たちの姿を想像したら、有り得る話だなと思えてしまった。


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