春待つ彼のシュガーアプローチ
「優しくしても冷たくしても、どんな言動をとっても肯定の反応ばかり返ってくると、結局…外見さえ良ければ他はどうでもいいのかなって思えてさ」


「氷乃瀬くん……」


「だから、あの時…ちゃんと注意してくれた陽咲の存在が俺には眩しくて、嬉しかった」


小学生の頃から、友達同士でふざけ合いながら廊下を走ったり自習中に大声で喋りながら遊んだり。


他にも、周りに迷惑になりそうなことをしている生徒がいたら注意していた。


そういう時、みんな決まって煙たがったり不機嫌そうに顔を歪めたりしていたから、氷乃瀬くんの言葉が凄く新鮮に感じる。


注意した人に“嬉しい”だなんて初めて言われた…。


「それに翌日は体調不良だって見抜いてくれただろ?俺、今まで少し調子が悪くても周りに気付かれたことなかったから、陽咲に指摘された時はかなり驚いた」


そう言えば、ほんの数秒だけ目を見開いていたっけ。


当時は何か地雷を踏んでしまったのかと思ったけど違っていたんだ…。


「あの日から俺は陽咲にもっと近付きたいと思ったんだ。だから今、こうして隣にいられるのが…すげぇ嬉しい」


目を細めて太陽のように明るく微笑む氷乃瀬くん。


心の底から喜んでいるのが伝わってきて、鼓動が加速するのを感じていた時。


“キャーッ”という悲鳴にも似た歓声がたくさん聞こえてきた。

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