春待つ彼のシュガーアプローチ
「陽咲は笹森センパイのどこが好きなわけ?」


「ちょ、ちょっと!秘密にするっていう約束したばかりなのに早々に破るつもり!?」


「周りに誰もいないんだから口外していないのも同然」


屁理屈でしょ、そんなの。


でもまあ、さっきまで後ろのテーブル席に座っていた男子生徒たちは帰ったみたいだし、近くにある本棚を利用している生徒もいない。


誰にも聞かれてなさそうでホッとした。


「氷乃瀬くんの質問に答える義務なんて……」


待って。


これ、断っていいんだろうか。


下手に拒否したらバラすつもりなのでは?


最悪な結末が過り、その後に続ける予定だった言葉を飲み込んだ。


「男子とか女子とか関係なく、誰に対しても優しく接してくれるところ。あと、いつも前向きで明るくて、周りを笑顔にしてくれるところ…かな」


笹森先輩の好きなところなんて、面と向かって誰かに話したの初めてだから恥ずかしい。


好きな人がいること自体、萌絵ちゃんにも内緒にしているのに。


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