神殺しのクロノスタシス1
「…」
「…羽久?」
「…シルナ…」
「羽久…!」
感動の再会を喜ぼうとしたシルナに、俺は。
「…シルナ…なんか、老けた?」
物凄く、正直な感想が出てきた。
シルナはずるっ、とずっこけた。
「酷い!折角の再会なのに!何年ぶりだと思ってるの。そりゃ老けるよ!」
「あぁ…。うん…」
「無事で良かったです、羽久さん」
クュルナは、泣きそうな顔でそう言った。
シルナはまぁ分かるが、クュルナまで探してくれていたのか。
「…ごめん。なんか…色々心配かけたみたいで」
「そりゃね、めちゃくちゃ心配したよ。でも…無事だったから良いよ。お帰り、羽久」
「ただいま…」
…凄く、長い間眠っていたような気がする。
自分の意思で身体を動かすのは、いつぶりなのだろう。
「…どうやら戻るべきところに戻ったようで。良かったな、サナキ。…っと、もうサナキじゃないんだっけ」
「…ジュリス…」
「ん?俺を覚えてるのか」
あぁ、覚えてる。
いつもの俺は、「入れ替わってる」ときの記憶はない。
自分の中に複数の自分がいることは知ってる。シルナが教えてくれたから。
起きたとき、他の人と話が噛み合わなかったこともある。
俺は他の俺を知らないし、他の俺も俺を知らない。
でも。
羽久・グラスフィアである俺は、サナキであるときの俺を覚えている。
サナキであったときの記憶がある。
従って、ジュリスのこともマキナスのことも、『オプスキュリテ』のことも…覚えている。
そして、羽久である俺は。
ジュリスが、魔導師であることも分かる。
「ジュリス…。どうして、俺を傍に置いてたんだ?」
今俺が、ジュリスを一目見てそうと分かったように。
ジュリスだって俺を見てすぐ、俺が異邦人であると分かったはずなのに。
どうして…俺を人間として…仲間として扱ったのだ?
「お前が、魔導師のスパイとして潜り込んだ訳じゃなくて…本当にただ『迷子』になってるだけだと分かったからだよ。保護者が迎えに来るまで、面倒見てやろうと思っただけだ」
「…」
「もし迎えがいつまでも来なかったら、ここでサナキとして、人間として生きていけば良いと思ってたよ」
それはそれで…アリだったのかもしれないな。
シルナは絶対に納得しなかったろうけど。
「でも、無事に迎えが来た。もとのお前…羽久としての人格も戻ったんだろう?なら…もうここにいる必要はないな」
「…ジュリス…」
「行けよ。お前が本来いるべき場所に、いるべき人のもとに帰るんだ」
ジュリスは、微笑みながらそう言ってくれた。
「…羽久?」
「…シルナ…」
「羽久…!」
感動の再会を喜ぼうとしたシルナに、俺は。
「…シルナ…なんか、老けた?」
物凄く、正直な感想が出てきた。
シルナはずるっ、とずっこけた。
「酷い!折角の再会なのに!何年ぶりだと思ってるの。そりゃ老けるよ!」
「あぁ…。うん…」
「無事で良かったです、羽久さん」
クュルナは、泣きそうな顔でそう言った。
シルナはまぁ分かるが、クュルナまで探してくれていたのか。
「…ごめん。なんか…色々心配かけたみたいで」
「そりゃね、めちゃくちゃ心配したよ。でも…無事だったから良いよ。お帰り、羽久」
「ただいま…」
…凄く、長い間眠っていたような気がする。
自分の意思で身体を動かすのは、いつぶりなのだろう。
「…どうやら戻るべきところに戻ったようで。良かったな、サナキ。…っと、もうサナキじゃないんだっけ」
「…ジュリス…」
「ん?俺を覚えてるのか」
あぁ、覚えてる。
いつもの俺は、「入れ替わってる」ときの記憶はない。
自分の中に複数の自分がいることは知ってる。シルナが教えてくれたから。
起きたとき、他の人と話が噛み合わなかったこともある。
俺は他の俺を知らないし、他の俺も俺を知らない。
でも。
羽久・グラスフィアである俺は、サナキであるときの俺を覚えている。
サナキであったときの記憶がある。
従って、ジュリスのこともマキナスのことも、『オプスキュリテ』のことも…覚えている。
そして、羽久である俺は。
ジュリスが、魔導師であることも分かる。
「ジュリス…。どうして、俺を傍に置いてたんだ?」
今俺が、ジュリスを一目見てそうと分かったように。
ジュリスだって俺を見てすぐ、俺が異邦人であると分かったはずなのに。
どうして…俺を人間として…仲間として扱ったのだ?
「お前が、魔導師のスパイとして潜り込んだ訳じゃなくて…本当にただ『迷子』になってるだけだと分かったからだよ。保護者が迎えに来るまで、面倒見てやろうと思っただけだ」
「…」
「もし迎えがいつまでも来なかったら、ここでサナキとして、人間として生きていけば良いと思ってたよ」
それはそれで…アリだったのかもしれないな。
シルナは絶対に納得しなかったろうけど。
「でも、無事に迎えが来た。もとのお前…羽久としての人格も戻ったんだろう?なら…もうここにいる必要はないな」
「…ジュリス…」
「行けよ。お前が本来いるべき場所に、いるべき人のもとに帰るんだ」
ジュリスは、微笑みながらそう言ってくれた。