神殺しのクロノスタシス1
でも。

ただ魔導師を目指す少女一人が救えるほど、世界は小さくなかった。

成長するにつれ、私は自分の無力に気づき始めていた。

いや、本当は最初から気づいていたのだ。

でも、認めたくなかった。

自分の無力や、非力を。

それを認めたら、私の志を支える柱が折れてしまいそうで。

いくら勉強しようと。

いくら優秀な魔導師になろうと。

私に、世界は変えられない。

認めたくなくて、認めざるを得ないその現実。

それでも、私は諦めなかった。

一度に全てをひっくり返す必要はない。

少しずつでも、人々の意識を変えていけば良い。

弱者を守り、平等な世界を作る為。

その為に、私は聖魔騎士団に入り、すぐに教員免許を取得して、ラミッドフルス魔導学院に赴任した。

あの当時、ラミッドフルス魔導学院は今ほど厳しい学校ではなかった。

イーニシュフェルト魔導学院に比べれば、多少きつくはあったものの。

そのラミッドフルス魔導学院を、私は時間をかけて、徹底的に改造した。

校則を厳しくし、試験での退学制度を作った。

勿論一筋縄では行かなかったし、時間もかかった。

しかし、私は諦めずに取り組み続けた。

その結果、ラミッドフルス魔導学院は今の姿を手に入れた。

私の目的は、強い魔導師を作ることだ。

弱者を守り、正しい行いをして、国と民と女王陛下を誇り高く守る魔導師。

その為には、体罰も厭わなかった。

むしろ、己が身を以て痛みを知らなければ、他人の痛みは分からない。

この調子で、少しずつ私の理想とする魔導師を増やしていく。

そうすれば、おのずと世界は形を変えてくるだろう。











…そう思っていた矢先だった。

彼が、私のもとにやって来たのは。






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