甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
「時間を作るとか……その、どうして私にそこまで……」

私の不思議そうな顔を見て、時哉さんはどこかからかうように微笑んだ。



「言っただろう? 案外、君しかいないのかもしれないって」



「あれは漫画の言葉を真似ただけで……!」



「それもあるけれど、君に興味を持ったのも事実だし。本当は『君』じゃなくて、名前で呼びたいのも事実だよ?」



「っ!」



私は顔に熱が集まったのを隠すように、少しだけ顔を(そむ)けた。

私の反応を見て、時哉さんが嬉しそうにニコニコと笑っている。

「時哉さん、笑わないで下さい!」

「無理だよ。だって、俺の言葉でその真っ赤な顔を見せてくれてるのだろう?」

あまりにも甘い言葉をさらさらと吐く時哉さんに私はつい「あんな漫画みたいな医者はいないって言ったじゃないですか!」と言い返してしまった。
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