君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
信号が青になり、車は再び動き出す。
少しずつ、見慣れた景色が広がる。
小さな町の象徴である歩道橋。通っていた小学校。暇さえあれば行った図書館。
右折すると、赤いロゴが入った看板が目印のスーパーが見えた。
(懐かしい……あのスーパー、今もあったんだ)
まだ片手で歳を数えられる頃。お父さんが風邪を引いて、私は代わりにご飯を作ろうと一人であのスーパーに行った。子供の私は料理なんて分からなかったから、店の人に付き添ってもらいながら、自分が食べたことあるものを買った。
(でも、結局何も作れなくて、お父さんが晩御飯を作ってくれたんだよね)
あの時は、支えになれないことが子供ながらに悔しかった。
だけど、これだけは鮮明に覚えている。上手くできなかった私に、お父さんは『よく頑張ったな。ありがとう』と言ってくれた。
(あの時は嬉しかったな……)
真っ直ぐ進むと、数字が入った看板が目印のコンビニが見えた。夏になると、私は毎日のようにあのコンビニでアイスをねだって、お父さんを笑わせていたっけ。
「……」
変な感じだ。苦しくて悲しい思いをしてきたのに、こうして思い出すのは、楽しくて嬉しいことばかり。
(……私……お父さんのこと、大好きだったんだ)
でも、だからこそ辛かった。
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