君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
その夜、晩御飯を食べ終えると、彼女と並んでソファに座った。
どう話そうか迷っているのか、彼女は純真な瞳を揺らしながら、口を開きかけては閉じることを繰り返していた。
「花音」
名前を呼ぶと、彼女は僕を見る。
両手の人差し指と親指で、彼女のふっくらとした愛らしい頬を摘む。
「……ふっ」
「なんで笑ってるの?」
笑みを浮かべる僕に、彼女は眉間に皺を寄せ、リスのように頬を膨らませた。
「君が可愛いから」
手を離し微笑みながらそう言うと、彼女の顔は一気に赤くなった。
「もう……要くんのバカっ……」
そっぽを向く彼女。
怒ったところも可愛いなと思う。
「ごめんごめん」
背中に腕を回し、肩を引き寄せこめかみに軽く口づけをする。
「花音が可愛くてついね」
「……許す」
口を尖らせて、小さな声でそう言った彼女に、さらに頬が緩んだ。
「昼間の話なんだけど」
愛らしい表情とは打って変わり、真面目な顔をした彼女に、肩から手を離し真剣に耳を傾ける。
「うん」
「私の家庭、ちょっと複雑でね。お母さんは、私を産んで亡くなってって。それから、お父さんが男手一つで私を育ててくれたんだけど、成長して、段々とお母さんに似てくる私を見て……っその……」
息を詰まらせたように、言葉が途切れる。その先を言うのは、彼女にとってとても辛いことなのだろう。そんな彼女を見るのは苦しい。言わせたくない気持ちもある。だが、彼女は懸命に言葉を紡ごうとしている。その勇気を僕が遮ってはいけない。
「うん?」
抱きしめたい気持ちをグッと堪えて、相槌だけ打つ。
「……憎く、なちゃったみたいで」
心の奥底に溜まっていたものを吐き出すように、彼女はその言葉を口にした。
(涙腺が緩んでいる)
口元を二の字に結ぶ彼女。辛くとも、必死に自分と戦っているのだろう。
背中にそっと手を添えると、出来る限り優しく摩った。
大丈夫。僕が側にいるよと伝わるように。
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