君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
涙を飲み込むと、彼女は続きを話してくれる。
「お父さんの中で私の存在は、お母さんがいないことの証明になったみたいで、お前のせいで……母さんは死んだ……なんて、言われるようになっちゃって」
(酷い……実の娘に向かってなんてことを言うんだ)
深い愛ゆえの喪失感。彼女の父親は、愛する人を失った悲しみから、立ち直ることが出来なかった。でもだからといって、娘である彼女にそんなことを言うのは間違っている。
「私が高校生ときに再婚したんだけど、上手くいかなくてすぐに離婚しちゃって、お父さんはどんどん塞ぎ込んで、生活もままらなくなったんだけど、頼る親戚もいなくて……連れ子だった義理の弟はまだ中学生だったし、私が必死にバイトして、なんとか生活してきた」
高校時代に付き合っていた頃、僕たちが放課後を一緒に過ごすことはなかった。彼女はバイトで、僕も部活動があって、確かにお互い忙しかったけど、僕以上に、彼女はいつも時間に追われているようだった。
あの時は気づかなかったけど、彼女は、生きていくために必死だったんだ。
「ごめんね……こんな重い話して」
「何言ってるの。花音が謝ることなんて、何一つないよ」
話を聞いて腑に落ちた。自分が感じていた妙な気掛かりの正体。それは、彼女の複雑な家庭環境にあったのだと。
十年前も今も、僕はそのことに気づかなかった。愛していると言って情けない。
膝の上できつく握りしめらていた両手に、片手を重ねた。
(この小さな手に、今までどれほどの……)
その苦しみや悲しみは、計り知り得ない。
「このことを要くんに言えなかったのは、要くんのことが大好きで大切だから、私の重荷を背負わせたくなたかったの。でも、今は話せてよかったと思ってる」
「花音……」
(本当に、君はどこまでも優しい人だ)
重ねていた僕の片手を両手でぎゅっと掴む彼女。
「聞いてくれてありがとう」
そう言い、柔らかに微笑んだ。
「僕こそ、話してくれてありがとう。これからは、何かあったらすぐに言ってほしい。君の痛みや苦しみは、僕のでもあるんだから」
(ほんの些細いなことでも、気づけるように)
愛おしいこの人を守りたい。僕のその想いは、また一段と強さを増した。
「お父さんの中で私の存在は、お母さんがいないことの証明になったみたいで、お前のせいで……母さんは死んだ……なんて、言われるようになっちゃって」
(酷い……実の娘に向かってなんてことを言うんだ)
深い愛ゆえの喪失感。彼女の父親は、愛する人を失った悲しみから、立ち直ることが出来なかった。でもだからといって、娘である彼女にそんなことを言うのは間違っている。
「私が高校生ときに再婚したんだけど、上手くいかなくてすぐに離婚しちゃって、お父さんはどんどん塞ぎ込んで、生活もままらなくなったんだけど、頼る親戚もいなくて……連れ子だった義理の弟はまだ中学生だったし、私が必死にバイトして、なんとか生活してきた」
高校時代に付き合っていた頃、僕たちが放課後を一緒に過ごすことはなかった。彼女はバイトで、僕も部活動があって、確かにお互い忙しかったけど、僕以上に、彼女はいつも時間に追われているようだった。
あの時は気づかなかったけど、彼女は、生きていくために必死だったんだ。
「ごめんね……こんな重い話して」
「何言ってるの。花音が謝ることなんて、何一つないよ」
話を聞いて腑に落ちた。自分が感じていた妙な気掛かりの正体。それは、彼女の複雑な家庭環境にあったのだと。
十年前も今も、僕はそのことに気づかなかった。愛していると言って情けない。
膝の上できつく握りしめらていた両手に、片手を重ねた。
(この小さな手に、今までどれほどの……)
その苦しみや悲しみは、計り知り得ない。
「このことを要くんに言えなかったのは、要くんのことが大好きで大切だから、私の重荷を背負わせたくなたかったの。でも、今は話せてよかったと思ってる」
「花音……」
(本当に、君はどこまでも優しい人だ)
重ねていた僕の片手を両手でぎゅっと掴む彼女。
「聞いてくれてありがとう」
そう言い、柔らかに微笑んだ。
「僕こそ、話してくれてありがとう。これからは、何かあったらすぐに言ってほしい。君の痛みや苦しみは、僕のでもあるんだから」
(ほんの些細いなことでも、気づけるように)
愛おしいこの人を守りたい。僕のその想いは、また一段と強さを増した。