君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
それから二十分ほどして、ゲートにウィルソン上院議長が現れた。挨拶をし、世間話もほどほどに車に乗り込むと、そのまま伊勢谷元総理の邸宅を訪れ、それから桜並木駅へ向かった。
「浮かない顔だね?」
運転する上野の横、助手席に座っていると、後部座席に座っていた伊勢谷元総理がそう声をかけてきた。
「何かあったのか?」
「すいません。少し、考え事をしていました」
そう言うと、伊勢谷元総理は口の端を持ち上げた。
「君は、ほんとに嘘をつかないね」
フロントミラー越しに、伊勢谷元総理の瞳が意味深に光る。
(伊勢谷元総理相手に嘘ついてもな。この人、洞察力に優れているんだよ)
プライベートと仕事はきっちり分けられていると思っていたが、彼の前では、僕もまだまだということだ。
「申し訳ありません」
「いや、そこが気に入っているんだ。君は正直者だ。私が何を聞こうとも、いつも真実を話してくれる。私は、そういう相手に警護してもらいたいんだ」
娘を溺愛する伊勢谷元総理だが、私情だけで僕を指名しているわけではなかったらしい。
「君は……心に決めた相手がいるのか」
「はい」
僕が即答すると、伊勢谷元総理は仕方がなさそうに肩をすくめて笑った。
「愛美に勝算はないようだな」
「申し訳ありません」
「いや、君が謝ることじゃない。ただ、父親である私からすると、可愛い娘が葛藤している姿をいつまでも見たくはない。だから、今日で最後にする」
「……というと?」
「今日の演説に愛美も招いた、そこであの子をキッパリと振ってやってほしい」
気持ちには応えられないと以前にも伝えたはずだが、伊勢谷元総理の言い方では、愛美はまだ僕を諦めてくれていないのだろう。
(この間のこともあるし、伊勢谷元総理の言うとり、もう一度はっきりと言うべきだな)
これ以上、彼女の負担になることが増えるのもごめんだ。
「分かりました」
伊勢谷元総理は頷くと、僕から視線を外し、隣にいるウィルソン上院議長との会話に戻った。
車は桜並木通りに入った。
「浮かない顔だね?」
運転する上野の横、助手席に座っていると、後部座席に座っていた伊勢谷元総理がそう声をかけてきた。
「何かあったのか?」
「すいません。少し、考え事をしていました」
そう言うと、伊勢谷元総理は口の端を持ち上げた。
「君は、ほんとに嘘をつかないね」
フロントミラー越しに、伊勢谷元総理の瞳が意味深に光る。
(伊勢谷元総理相手に嘘ついてもな。この人、洞察力に優れているんだよ)
プライベートと仕事はきっちり分けられていると思っていたが、彼の前では、僕もまだまだということだ。
「申し訳ありません」
「いや、そこが気に入っているんだ。君は正直者だ。私が何を聞こうとも、いつも真実を話してくれる。私は、そういう相手に警護してもらいたいんだ」
娘を溺愛する伊勢谷元総理だが、私情だけで僕を指名しているわけではなかったらしい。
「君は……心に決めた相手がいるのか」
「はい」
僕が即答すると、伊勢谷元総理は仕方がなさそうに肩をすくめて笑った。
「愛美に勝算はないようだな」
「申し訳ありません」
「いや、君が謝ることじゃない。ただ、父親である私からすると、可愛い娘が葛藤している姿をいつまでも見たくはない。だから、今日で最後にする」
「……というと?」
「今日の演説に愛美も招いた、そこであの子をキッパリと振ってやってほしい」
気持ちには応えられないと以前にも伝えたはずだが、伊勢谷元総理の言い方では、愛美はまだ僕を諦めてくれていないのだろう。
(この間のこともあるし、伊勢谷元総理の言うとり、もう一度はっきりと言うべきだな)
これ以上、彼女の負担になることが増えるのもごめんだ。
「分かりました」
伊勢谷元総理は頷くと、僕から視線を外し、隣にいるウィルソン上院議長との会話に戻った。
車は桜並木通りに入った。