君が愛おしくて。クールなエリートSPの甘く一途な溺愛事情
桜並木駅に着くと、演説を聞こうと多くの人が集まっていた。
「少しお待ちください」
車を降りると、当たりを見渡す。不審人物や物がないことを確認すると、車の両サイドに立っていた一係のSPと顔を見合わせる。
「伊勢谷元総理、ウィルソン上院議長、車を降ります」
胸元のマイクに向かってそう言うと、イヤモニから他のSPたちの「了解」という声が聞こえる。
ドアの前に立ち、待機していた上野に頷き合図を送る。
上野が後部座席のドアを開け、二人が車から降りた。
先に到着していた若葉議員と藤は、すでに演説場に移動して僕たちを待っていた。
周辺を警戒しながら、伊勢谷元総理とウィルソン上院議長の傍を固めて移動する。
(あっ……)
人混みの中、数百メートル離れた先、彼女が立っているのが見えた。
こちらを見て、少しぼーっとしているだろうか。
(見惚れられているみたいだ)
可愛くて、つい微笑んでしまう。
彼女が見てくれていると思うと、キツく重みのある仕事でも頑張れる。
< 78 / 115 >

この作品をシェア

pagetop