愛しい君へ
わたしはバッグを持ちながら、玲司さんの脱いだ上着を受け取ると、リビングの電気を点け、玲司さんに「大事な話なので、座っていただけますか?」とお願いした。
玲司さんはネクタイを緩めながら、ソファーに座り、足を組むと「大事な話?」と言った。
わたしは一度、玲司さんのバッグと上着をダイニングテーブルの椅子に置くと、玲司から1人分のスペースを空け、隣に座った。
ふと見上げた時計は、午後23時15分を指そうとしているところだった。
「それで、大事な話って?」
玲司さんの言葉に、わたしは自分のバッグからエコー写真を取り出すと、玲司さんに見せた。
そして、「わたし、妊娠しました。」と言った。
玲司さんはチラッとエコー写真を見ると、わたしの言葉に「そうか。それで性別は?男か?」と訊いた。
「いえ、まだ性別は分かりません。」
「男だと、分かったら教えてくれ。女はいらないからな。」
あまりの冷めた反応と言葉に、わたしはショックを受けた。
女は、いらない?
「あのぉ、もし女の子だったら、、、」
「女だったら堕ろしてかまわない。」
「そんなぁ、、、性別はどちらでも、同じ命で、わたしたちの子どもなんですよ?」
わたしがそう言うと、玲司さんは立ち上がり「必要なのは、後継ぎだ。女を産んだって仕方ないだろ。」と冷たく放ち、「シャワーを浴びてくる。」と言うと、バスルームへと入って行った。
エコー写真もよく見ず、性別だけを気にする玲司さんの態度にわたしは涙が溢れてきた。
もう少し、喜んでもらえると思っていた。
わたしはお腹に手を当てると、赤ちゃんに話し掛けるように「ごめんね、、、。」と言い、涙を流した。