聖女のいない国に、祝福は訪れない【電子書籍化】
「もう、行ったり来たり、疲れちゃいました~。早くニセラを、セドリックだけの聖女にしてほしいですぅっ」

 二度目は呆れて、物を言う気にもなれない。
 自己肯定感が異つねに強いニセラは、自分はが言い寄れば、男は喜んで当然だと思っているようだ。

(控えめな姉、自意識過剰な妹……。なるほど。双子だな……)

 顔立ちは二卵性でそっくりとまではいかないが、価値観が真逆なのは双子ならではなのだろう。
 ニセラのような女性を好む男もいるのかもしれないが、セドリックは圧倒的にフリジア派だった。

「ニセラは、セドリックのことが大好きですぅ~!」

 口で拒絶しても伝わらないのなら、いよいよ腰元の剣を引き抜き脅すべきか――。

(その様子を、フリジアに見られでもしたら……)

 セドリックは恐れている。
 フリジアに嫌われると言うことは、アーデンフォルカに聖女の加護が失われると言うことだ。

 厶ガルデン王国で酷い扱いを受けたのであれば、他国に助けを求めたところでもっと酷い目に合うかもしれないからだった。

 民のためにも、彼女自身のためにも。

 セドリックは守らなければならない。
 誰よりも愛しい、アーデンフォルカ帝国を照らす光。
 聖女フリジアを。
< 148 / 200 >

この作品をシェア

pagetop