御曹司さま、これは溺愛契約ですか?
だから彼が天ケ瀬グループの後継者にふさわしい振る舞いを徹底し、今後も〝完璧〟でいることを選ぶなら、美果もそれをサポートしたい。それが翔の考えで、社員やその家族、取引先や顧客のための選択だと言うのなら、美果も翔が目指す未来を応援したい。それに。
「俺の本音は、美果が知っていてくれればそれでいい」
たった今言おうとしていたことを、翔に先に言われてしまう。だから美果は笑顔を返すことしか出来なかったが、翔はそれで満足したらしい。
翔がシーツの上に体重をかけると、重さでベッドが少しだけ沈む。そのままそっと唇を重ねてくる翔の首に腕を絡めて微笑むと、翔も優しく微笑みを返してくれた。
「美果だけを愛してる。これからもずっと」
「私も、翔さんだけを愛しています」
ほんの少し離れた唇の間で、互いの愛を確かめ合う。
雇用契約から始まったふたりだが、今はもうかけがえのない唯一無二の存在になっている。互いの夢を叶えるために互いの存在が欠かせなくて、離れてしまったらきっとすべてが上手くいかなくなる。
愛し合う二人は互いの傍にいることで幸せになれると知っている。だからこれは、きっと。
「最愛契約ですね?」
美果がふふふ、と笑うと、翔が頬に口付けてくれる。
永遠に契約満了にはならないけどな、という言葉に同意するよう絡め合った手には、愛を重ねた誓いの印がきらきらと煌めいていた。
――Fin*


