【Quintet】

【Autumn】

 ~その人は秋のよく晴れた日の太陽のように穏やかで伸びやかな人~

        *

 ゴールデンウィークのキャンプから1週間後の5月12日に沙羅は20歳の誕生日を迎えた。当日はUN-SWAYEDの四人も仕事を早めに終わらせて夜は誕生日パーティーを開催してくれた。

沙羅の大好物のパティスリーKIKUCHIの苺のホールケーキに20本のろうそくが並び、ハッピーバースデーの歌を口ずさむのはミリオンヒットを飛ばす人気ロックバンドの四人組。贅沢な20歳の幕開けだった。

 誕生日プレゼントは悠真からは文字盤のホログラムがオーロラのように輝く腕時計、海斗からはピンクゴールドとダイヤモンドの薔薇のイヤリング、星夜からは演奏会に着ていけるドレッシーなネイビーのワンピース、晴からは楽譜も入る大きさの通学用のバッグを貰った。

 どのプレゼントもセンスがよくて沙羅の好みにぴったりだった。
四人からのプレゼントすべてが銀座や六本木に店舗がある一流ブランドの品物で、四人共忙しい合間を縫ってプレゼント選びをしていたらしい。

それでもプレゼントは値段ではなく気持ちだ。自分のためにプレゼントを一生懸命選んでくれた皆の気持ちが嬉しかった。

 20歳になっても劇的な変化はなく、ピアノと楽譜と賑やかな四人組に囲まれて過ごす日々。最初はどうなるかと思った男四人との同居生活も今ではすっかり楽しくなっていた。
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