【完】同棲ギブアンドテイク〜スパダリ部長と秘密の同棲始めました〜
「……まぁ、同じ歳であそこまでスキルの高い人間が中途で入ってきたとなると…気負いするなという方が無理な話だな。」
手に持っていたビジネスバッグを床に置いて、涙を拭おうとしていた私の手をとった部長は…そのままその手を引いて優しく抱きしめてくれた。
「あれは、立花の方が珍しくデキる人間ってだけで…お前が劣っているわけじゃない。事情は知らないが現に彼女は既に新卒で入社した会社を一度退職している。」
確かにそれはそうだけど。だから何だって話だ。
もしかしたら超絶ブラック企業に就職してしまって、身体を壊す前に辞めようと判断したのかもしれないし…パワハラやセクハラを受けて辞めざるを得ない状況だったのかも、、
「その点芳野は…採用の条件が不純だと噂されても、入社早々に変な詐欺に引っかかっても…逃げ出すことなく、こうして頑張ってる。」
……それは、部長が一緒に居てくれたからっ
「いくら仕事が出来るからと言って…いつ辞めるか分からないような中途採用の社員より、不器用でも必死で役に立とうと努力してる芳野の方が…俺は信頼出来る」
「……部長っ、」
「なんて…一人の社員を贔屓するような発言は不味いから。今のはお前の胸の内だけに秘めて、無駄なことに労力を使うのは今日限りで辞めにしろ─…出来るな?」
強く、首を縦に振って頷いてみせると…髪を優しく撫でてくれる部長。こんなの…好きになるなという方が、無理な話だと思う。