神殺しのクロノスタシス2
ざっと、校庭を見渡してみる。
校庭には、ほぼ全員の生徒が集まっているように見えるが…。
「一年Aクラス、三年Bクラス、四年Bクラス、五年Cクラスが間に合っていませんね」
イレースは、点呼の報告を記したメモ帳を片手に言った。
あー…。やっぱり、間に合わないクラスがいたか。
そりゃしょうがないよな。
普段の避難訓練とは、緊張感が違い過ぎるもん。
校庭には出ているのだけど、整列と点呼が、僅かに間に合わなかった。
間に合わなかったと言っても、数秒、数十秒単位だ。
何分も遅れた訳じゃない。
シルナだったら、こんなの誤差の範疇だと見過ごしただろうけど。
ラミッドフルスの鬼教官は、一秒たりとも許しはしない。
実際、災害の現場では、その一秒が命取りになるからな。
ここは妥協しない。
「ま、まぁ良いじゃない。皆無事だったんだから…」
横から、シルナがそーっと口を挟むも。
「駄目です。私は妥協しません。遅刻は遅刻。しっかり罰掃除は受けてもらいます」
イレース、容赦なし。
シルナも、何も言い返せなかった。
こういうときは、イレースの方が強いよなぁ。
とにかく、初めての本格的な避難訓練にしては、皆頑張った方じゃないか…と。
思った、そのとき。
一年Aクラスのクラス委員が、血相を変えて走ってきた。
「クローリア先生!」
クローリア先生とは、イレースのことである。
「何ですか?」
「一人…一人足りません!何処にもいないんです!」
「!?」
これには、俺とシルナだけではなく、イレースも驚いて目を見開いた。
「一人足りないですって…?」
「き、教室で整列したときにはいたはずなんです。それなのに、な、何度数えても…」
一年Aクラスのクラス委員は、泣きそうな顔で訴えた。
クラス委員とはいえ、一年生で、初めての避難訓練である彼らを、深く追及して責め立てても無駄である。
「いない生徒は誰です?」
「あ、アンブローシア君です。ナジュ・アンブローシア君…」
ナジュ・アンブローシアだな。分かった。
「イレース、ここで生徒を見ててくれ。俺とシルナで探してくる」
「分かりました。お願いします」
何らかの事情で、クラスメイト達とはぐれてしまった可能性がある。
「ほら、行くぞシルナ!」
「う、うん!」
実際の非常時にも、起こり得るアクシデントだ。
これが避難訓練で良かった。
俺とシルナは、急いで校舎の中に戻った。
校庭には、ほぼ全員の生徒が集まっているように見えるが…。
「一年Aクラス、三年Bクラス、四年Bクラス、五年Cクラスが間に合っていませんね」
イレースは、点呼の報告を記したメモ帳を片手に言った。
あー…。やっぱり、間に合わないクラスがいたか。
そりゃしょうがないよな。
普段の避難訓練とは、緊張感が違い過ぎるもん。
校庭には出ているのだけど、整列と点呼が、僅かに間に合わなかった。
間に合わなかったと言っても、数秒、数十秒単位だ。
何分も遅れた訳じゃない。
シルナだったら、こんなの誤差の範疇だと見過ごしただろうけど。
ラミッドフルスの鬼教官は、一秒たりとも許しはしない。
実際、災害の現場では、その一秒が命取りになるからな。
ここは妥協しない。
「ま、まぁ良いじゃない。皆無事だったんだから…」
横から、シルナがそーっと口を挟むも。
「駄目です。私は妥協しません。遅刻は遅刻。しっかり罰掃除は受けてもらいます」
イレース、容赦なし。
シルナも、何も言い返せなかった。
こういうときは、イレースの方が強いよなぁ。
とにかく、初めての本格的な避難訓練にしては、皆頑張った方じゃないか…と。
思った、そのとき。
一年Aクラスのクラス委員が、血相を変えて走ってきた。
「クローリア先生!」
クローリア先生とは、イレースのことである。
「何ですか?」
「一人…一人足りません!何処にもいないんです!」
「!?」
これには、俺とシルナだけではなく、イレースも驚いて目を見開いた。
「一人足りないですって…?」
「き、教室で整列したときにはいたはずなんです。それなのに、な、何度数えても…」
一年Aクラスのクラス委員は、泣きそうな顔で訴えた。
クラス委員とはいえ、一年生で、初めての避難訓練である彼らを、深く追及して責め立てても無駄である。
「いない生徒は誰です?」
「あ、アンブローシア君です。ナジュ・アンブローシア君…」
ナジュ・アンブローシアだな。分かった。
「イレース、ここで生徒を見ててくれ。俺とシルナで探してくる」
「分かりました。お願いします」
何らかの事情で、クラスメイト達とはぐれてしまった可能性がある。
「ほら、行くぞシルナ!」
「う、うん!」
実際の非常時にも、起こり得るアクシデントだ。
これが避難訓練で良かった。
俺とシルナは、急いで校舎の中に戻った。