神殺しのクロノスタシス2
先日。

事が収まり、授業が再開されてすぐ。

学院の方はイレースとナジュに任せ。

シルナ本体と俺、そして聖魔騎士団を代表して、ルシェリート夫妻の四人で、王宮を訪問した。

なんて、軽く言ってるが。

本当は、フユリ様に謁見するには、何ヵ月も前にアポイントメントを取り、数々の小難しい手続きを経て、ようやく女王陛下の貴重な時間を割いてもらえるのだ。

フユリ様をある日突然訪ねて、会ってもらえる人間なんて、この国に何人いることやら。

そしてシルナは、その貴重な数人のうちの一人である。

俺達が訪ねてきたと知るや、フユリ様はすぐさまスケジュールを変え、僅か一時間ばかり待たされただけで、応接間に通された。

頑張ってスケジュール変えてくれた人、ごめんな。

俺達のメンツを見て、これはただ事ではないと分かったのだろう。

挨拶もそこそこに、フユリ様は、

「何があったんですか?」

早速、話の核心をついてきた。

そして、シルナもまた、答える準備が出来ていた。

「ジャマ王国との、深刻な国交問題が起きました」

さらっと言えることじゃねぇ。

さらっと言ってるけど、全然さらっと言えることじゃねぇ。

しかし、さすがはフユリ様。

眉一つ動かさない貫禄を見せた。

「…続けてください」

「実は…」

シルナは、令月がルーデュニア聖王国にやって来たところから、順を追って説明した。
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