恋愛最前線
夏の終わり
惣市はソファに寄り掛かり床に座っていた。

「一人暮らし寂しくないの?」

惣市は さっき自分が質問した事を 聞き返して来た。

智身は、
「私高校から寮だったのね。そのうち1年はアメリカだったし。慣れてる。同じよ」

ただし、彼女と彼の 一人暮らしの中身は 全然違う…


彼女の暮らしには 必ず 両親 家族の愛が 後押してくれていた。

彼には お金は余る程あったかもしれないが。

「愛」が 足りない。

感情のコントロールが出来ずに 自分が見えなくなる。

だから、死ぬ程までの ダメージを与えるまで、わからないのだ。


感情が麻痺している。

それは… セックスの時にも…感じていた。

時に、すごく乱暴になる…。

彼女には 少し そこが気にかかっていた。

「俺はほんとはさみしいよ…」

惣市はボソッと呟く。

「慣れてるけど…。家族団欒とか。憧れる…」


「みんなそうだよ。何も問題がない人なんかいないから…」

智身の年でも、正解なんかわからない…

この ひねくれた、心を閉ざしている少年には 尚更 上っ面の言葉に聞こえるだろう。


智身は彼を抱き締めると「自分の人生は、自分で作ってくんだよ…もぅ、子供じゃないんだから…」

彼に伝わる。…わけなんかないが…

彼女は 何とかして 彼に 心の底から笑って欲しいと思った…。

「出来るかな…。俺も変わりたいと思うんだ…」
「思ってれば、あとは実行に移すだけじゃん」

「…」


夏休みが終わる間 彼は 家に帰らなかった。

ずっと 彼女のマンションにいた。


問題が起こり初めていた…。
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