花隠し
全身の痛みにうめく私のおでこに時折乗せられる冷たいもの。
それが濡れた手拭いだということにようやく気づけた頃には、すでに1週間が経っており、すべてが終わっていた。
「姉さん、そろそろ飯を食ってください」
お盆を畳に置いた守助は、頬に張りついた私の髪をそっと耳にかける。
体を起こし、なにをするでもなくボーッとしている私には、もう動く気力など残っていなかった。
「ほら、口開けて」
食べたくない。いらない。
差し出されたレンゲを無視して毛布の中にもぐりこむ。
守助はそんな私を責めることはせず、隣に寝そべり毛布の上から腕をまわしてきた。
「……実里のお母さんは」
「なんです?」
「実里のお母さんは……生きてるんだよね」
「……」
「山に隠されてなんて……ないよね」
守助は答えない。
その沈黙がすべてだということはわかってるのに、それでも諦めたくなかった。