花隠し
「姉さん、いまは自分の心配だけしてください」
「……」
「父上にひどく殴られたんだ。幸い、長く続く後遺症は残らなかったが、それでもまだ安静にしていなきゃならない」
お父さんから下された制裁のせいで、私の腕と足には麻痺が出ていた。
きちんとリハビリをすれば問題はないらしい。
けど、一歩間違えばこの部屋から自由に出ることのできない体になっていたのだと思うと、背筋が寒くなる。
そんな私に、守助は至極穏やかに語りかけてくる。
「なにも考えなくていい。姉さんは、よく頑張った」
なに、それ。
守助だって邪魔したじゃない。
私と実里が進む道を一度でも阻んだその口で、今さらなにを言っているの。
「……きらい」
「姉さん」
「こんな村も、お父さんも、守助も……みんなみんな大嫌い」
「姉さん」
「呼ばないでよ。守助の声なんか聞きたくない」
耳を塞いだ。
それでも守助は私に声をぶつけるのをやめない。