he said , she said[完結編]


西武池袋線沿いの実家に住んでいると、瞳子はメッセージで教えてくれた。
普段は池袋に出て、そこから丸ノ内線に乗り換えて通勤しているという。

愛車で迎えに行ってみせたいところだが、付き合ってもいないのに実家に乗りつけるのはやりすぎだろう。

数度のやりとりの末、六本木のアマンドの前で待ち合わせになった。
おのぼりさんのようだと思うが、ヒルズやミッドタウンは出入り口が多く、かえって迷うのだ。

約束の週末、直弥はリネンとコットンの混紡のネイビーのジャケットにチノパンツという格好で、六本木の駅に足を下ろした。
くだけすぎず仕事着の延長のような装いだ。

交差点で信号待ちをしながらアマンドに目を向けると、やはりというか、瞳子が店の前で所在なさげに佇んでいた。
真面目で慎重な気質はメッセージのはしばしからも感じとれる。待ち合わせには早めに着いていたいのだろう。

まだこちらに気づいていないので、遠目に彼女を観察することができた。
ライトグレーのワンピースにカーディガンを羽織っている。
過度に自分を主張しない、コンサバなファッションだ。
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