he said , she said[完結編]
自分で狙い、ことを運んだとはいえ、展開には想定外のこともあった。

スリルを求めたわけではないのだが、やはり男と女のことは計算通りにはいかず、だからこそ面白い。
直弥は十日ほど前の、代官山の夜のことを反芻(はんすう)する。

代官山。
こぢんまりした品のいいショップがそこここにある街は、デートにもってこいだ。

午後の早い時間に瞳子と駅で待ち合わせた。
前回は昼から夕方で、今回は午後からディナーの約束をしている。
意図的に大人の時間へとずらしているが、どのタイミングで決定打を放つべきか。
言葉でか行動でか。
「付き合おうか」といった言葉で交際を始めるのは、学生かせいぜい二十代半ばまでだ。

自分も瞳子もとうに子どもではない。
遊びで恋愛をする年齢ではないなら、どう進めるべきかと思い巡らせる。

メッセージアプリで毎日のようにやり取りをしているが、瞳子は付かず離れずといった姿勢だ。
拒むではないが、瞳子からの誘いや好意をのぞかせる言葉は今のところないのだ。
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