he said , she said[完結編]
わたしの自慢の「人脈」も、呉興の名前と社会的な立場とお金あってのものだったんだと思い知らされた。
勤務先の聞こえがいいから、ちょいと見栄えがする容姿でフットワークが軽いし金回りもいいし…そんなんで繋がってたような人ばかりだったのよ。
呉興じゃなくなってしまったら、プライドばかり高い無職の三十過ぎの女、どこからも誘いの声がかからなくなってしまった。

ようやく現実が見え始めて、重い腰を上げて就職活動を始めたけど、これもまたプライドを削られる日々だった。
同時期に同じ転職支援会社を利用してるから、面接に行ってみると全員元呉興レディなわけよ。
元同僚たちと一つの椅子を競わなければならないのも、気まずいことこの上ないけど。

それ以上にわたしは、自分が指導していた後輩と同列に並べられて選抜される屈辱に耐えられなかった。
「あなた自分が呉興のイメージを背負ってる自覚はあるの?」なんて研修してた後輩のほうが、若さというアドバンテージがあるから有利だったりね。

そもそも持っているスキルといったって、接客経験と呉興自動車の知識だけ。
紹介される会社も中古車ディーラーとか、ホテルのスタッフとか、そんなのばかり。
アミューズメント関係というから何かと思ったらパチンコ屋だったり。
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