エリートなあなた
報告書作成のあとはパワーポイントを終了。部署内を眺めてみると、全体が活気に包まれていた。
グローバル化によってコストカットが相次ぎ、日本での企業のあり方が見直されている現在。
それでも製造業界にとって、試作開発と技術力の高さが誇りであると改めて教えられる部署だ。
「あら、黒岩くんどうしたの?」
するとデスクへ視線を戻すより早く、聞こえた名前と声を目が自然に追っていた。
一時停止した私が捉えているのは、最も奥に位置する構造課のスペースの手前。
黒岩課長が構造課を新設する前に配属されていた――マネジメント課の一角だ。
そこではグレーのスーツ姿の課長と、彼に寄り添ってファイルを見ている女性の姿があった。
180センチをゆうに超える課長の隣に並んでも、絵美さん以外で唯一バランスを取れると思う人だ。