エリートなあなた
それに拗ねた顔を見せると頭をポンとひと撫でされ、ようやくその場を離れた私たち。
別室で着替えに向かった彼を待つ間、私もキッチンで少し冷めてしまった鍋をあたためる。
「うまそー、なに作ってくれたの?」
ぐつぐつ音を立てて躍る鍋を見ていると、不意に首へ回された腕の重みが心地良い。
「…みぞれ鍋――あ。今さらですけど、嫌いなものとか…?」
――嫌いな物とかアレルギーとか、…事前に聞くのを忘れてたと気づく。
気合を入れた割には肝心なことでドジるよね、と瑞穂に言われる通りの失敗だ。
「いや、何もないよ?あー腹減った」
「ホント!?良かったー、じゃあ食べましょうか?」
振り返ると、ラグランTシャツにスウェットのリラックスした姿とご対面。