エリートなあなた


おそるおそるダークグレイの瞳に対峙したのは、これが半年ぶりとなる2回目――


デスクチェアの隣で困惑の色を見せると、課長は私のデスクの正面に立った。


それはつまり、問い掛けと眼差しに背けないと示している。


今日の課長はネイビーのストライプスーツに、シルバーのネクタイを合わせたスタイルだ。


「あ、あの…」

「うん、」

至近距離で見る彼の整った顔は、人の心までもを読み取りそうな強さがある。


半年前の感情がすぐ蘇えるそれらに息を呑んだ。それでも、課長のすべてが心を忙しく動かして止めない。


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