エリートなあなた
甘く響いてくる低音の声と笑顔とぬくもりに触れて、改めて感じること。
黒岩修平という人でなければ、私はダメであるということ――
「…ところで、」
寝転んだままの彼を見つめているときりだされ、「はい?」と答えたところ。
「…それ、」
「ん?何がですか?」
何を指摘されたのか分からず尋ね返すと、片手で頭を抑えて苦悶の表情を浮かべた。
「――いつまで俺に、敬語使うわけ…?」
そのまま紡がれた答えに、一瞬思考回路ストップ――さらに目を白黒させた。
「ええ、と…上司だし?」
「――オフタイムだ、ここは」
「…うーん、いつものクセなんです、あっ」
思案しながら口すると出る敬語はもはやクセ。口をおさえたものの、下からジーッと睨まれてしまった。
やっぱり“もしも”のミスを考えると、単純に切り替えようとは出来ずにいたのだ。