エリートなあなた


「お待たせ」


その言葉とともにゆっくり瞼を開いた時、ダークグレイの瞳は穏やかな色であった。



「ううん全然!…どんなお祈りしていたの?」


参拝を終えてその場から歩き始めた私は、彼の腕を掴んで呑気に聞いてしまう。


「――ハハ、…内緒」


ガッシリした腕の力強さに囚われていた私は、微笑と声色に気を取られていた。



彼の表情が一瞬だけ、曇っていたことに気づかないほどに…。



「それなら私もヒミツ~!」


「え?真帆の願い事なら想像ついてるけど」


「うそ!?じゃあ言ってみてよー!」


まさかの発言に驚いた私は、歩を止めて隣の彼の腕を両手で掴んだ。



「――まぁ口に出してもいいけど、…言ったら叶わなくなるだろ?」


ムキになって尋ねた私とは対照的に、オトナな彼から静かに諭される羽目になって。



「…それは、やだ」と、呟くことが精一杯なコドモさを露見してしまった。



< 318 / 367 >

この作品をシェア

pagetop