エリートなあなた
「お待たせ」
その言葉とともにゆっくり瞼を開いた時、ダークグレイの瞳は穏やかな色であった。
「ううん全然!…どんなお祈りしていたの?」
参拝を終えてその場から歩き始めた私は、彼の腕を掴んで呑気に聞いてしまう。
「――ハハ、…内緒」
ガッシリした腕の力強さに囚われていた私は、微笑と声色に気を取られていた。
彼の表情が一瞬だけ、曇っていたことに気づかないほどに…。
「それなら私もヒミツ~!」
「え?真帆の願い事なら想像ついてるけど」
「うそ!?じゃあ言ってみてよー!」
まさかの発言に驚いた私は、歩を止めて隣の彼の腕を両手で掴んだ。
「――まぁ口に出してもいいけど、…言ったら叶わなくなるだろ?」
ムキになって尋ねた私とは対照的に、オトナな彼から静かに諭される羽目になって。
「…それは、やだ」と、呟くことが精一杯なコドモさを露見してしまった。