エリートなあなた
貴方の苦しそうな表情に、私だって胸が痛くなるから。出来れば、吐き出して欲しかった。
隣のシートでハンドルへ手を置くその横顔は、すでに今日のものと変わっていたから…。
「修平さん、お願い」
「…分かった、」
虚しく響くばかりの私の懇願が通じたのは、それから暫くしてのこと。
重苦しい何かを吐き出そうと呼吸を繰り返すと、
「…まだ正式に発令されていないから。
絶対に…、口外しないでくれるね?――もちろん信頼してるから誤解しないで欲しい」
こちらへ向けてきたその眼差しは、明らかに仕事モードの彼だった。
仕事関係の話なのだとそこで察した私は、ゆっくり頷いて彼を見返すだけ。
すると修平さんは、怯える私の目を切なく捉えたまま呟いた。
「――本社への出向が決まった」