エリートなあなた


首を傾げる岩田くんはまだ入社1年目の新人くんだから、知らなくて当然の話だ。



「今は本社で働いている人で――試作部…ううん、いずれ会社を背負って立つと言われてた人がいるの。

構造課を新設してからたった2年で、功績を出してみせたやり手よ。

それだけじゃなくて、メンタル面でも部下を気にかけていてすごく慕われていた…。

――その彼のことを皆が揃って、エリートと呼んでいたのよ?」


「へぇー、そんな凄い人がいたんですか…!」


「――そうだね」


目を輝かせる岩田くんが純粋に羨ましい。…残像に縋りながら、言えなかった言葉。



――2年経ったよ?修平さんにはやく、はやく会いたい…。



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