エリートなあなた


そのまま松岡さんに連れて行かれたのは、オフィスを出て5分ほどの距離にある路地裏のお店。



細長い造りのそこはカウンターのみの小さな店内で、夜はフランス料理とワインを提供しているとか。



「――松岡さん、」


「んー、うまい。真帆ちゃんも早く食べなきゃ冷めるよ?」


運ばれて来たコーヒーとともに、中央に卵の落とされたガレットを切り分けては食べている彼。



「…はい、」


隣でパクパク食べる姿に小さく溜め息を吐き出すと、目の前の出来たてを味わうことに。



ナイフとフォークを手にして切り分けると、口へ運んでもぐもぐ咀嚼する。


「――美味しい」


「でしょー?ここお気になんだよねぇ」


トロトロのチーズにハムの塩味がいいアクセントとなり、ガレットの香ばしいところがまた食欲をそそる。



隣でニヤリと口角を上げて笑う松岡さんに頷く。確かに今まで食べたガレットの中でも一番美味しく感じた。



< 90 / 367 >

この作品をシェア

pagetop