君は大人の玩具という。



その後やや落ち着いてから
牧の話を聞いたところによると、
どうやら自分は牧が足を掴んだせいで
頭を思い切り壁にぶつけたらしかった。

牧はその姿を見て一気に目が覚め、
ずっと京子の名前を呼んでいたと主張した。


「たんこぶできてるし、
 脳に支障はないと思うけど。
 心配だったら明日CT撮ろうね」


オーダー入れるから。

と、いつになく真面目な発言に
京子は首を振った。


「あ、大丈夫です」


夢だとわかってほっとしているはずが、
気まずさと恥ずかしさと鼓動は
治まるどころか悪化していた。


「…きょんちゃん?」


その声に、嫌でも思い出させられてしまう。


『もっとして、って顔、してるよ…?』


そう言ってきた顔が、
現実が、今目の前にある。

そんな夢を見てしまった自分が、
恥ずかしすぎて沸騰しそうだった。


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