無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
顕微鏡越しに航介が向き合っているのは、生の鶏の手羽先だ。
手羽先の微細な血管は脳血管と似通っており、血管を縫い合わせる良い練習になる。初期研修を終えてまだ二年の新米脳外科医にはうってつけだ。最初はノロノロしていた手つきもかなり改善されており、航介の努力が窺える。
「手つき、だいぶマシになったな」
「うおぉっ?!」
顕微鏡から顔を上げ、スマホのストップウォッチを止めたタイミングで航介に声をかけると、航介は大げさに飛び上がって勢いよくこちらを振り向いた。いちいち騒がしい。
「成澤先生!驚かさないでくださいよ。マジで心臓止まるかと思いました」
「何分だった?」
戯言は無視して手羽先血管の吻合にかかった時間を訊ねると、航介は素直にスマホを覗き込んだ。
「えーっと……十六分三十七秒です」
「前より短くなったな。でも十四分は切りたい」
ついでに気になった点を二、三言い添える間も、航介は真剣な眼差しで相槌をうっている。真摯に知識を吸収しようという姿勢には好感が持てて、真紘も説明に熱が入った。
気がつけば、昼休みももう半分が過ぎていた。
「航介、飯行った?」
「すみません。俺、今日これなんで」
誇らしげな顔をして航介がリュックからブルーチェックの巾着袋を取り出した。最近料理に凝っているらしく、隙あらば自慢してくるのが鬱陶しい。「成澤先生は料理なんてしないですよね」なんてドヤ顔でマウントを取ってきた日には本気で額に青筋が浮かんだ。
フン、と鼻であしらい、隅にある段ボールの中からカップ焼きそばを引っ掴んだ。一人なら、食べるものに気を遣う必要はない。
手羽先の微細な血管は脳血管と似通っており、血管を縫い合わせる良い練習になる。初期研修を終えてまだ二年の新米脳外科医にはうってつけだ。最初はノロノロしていた手つきもかなり改善されており、航介の努力が窺える。
「手つき、だいぶマシになったな」
「うおぉっ?!」
顕微鏡から顔を上げ、スマホのストップウォッチを止めたタイミングで航介に声をかけると、航介は大げさに飛び上がって勢いよくこちらを振り向いた。いちいち騒がしい。
「成澤先生!驚かさないでくださいよ。マジで心臓止まるかと思いました」
「何分だった?」
戯言は無視して手羽先血管の吻合にかかった時間を訊ねると、航介は素直にスマホを覗き込んだ。
「えーっと……十六分三十七秒です」
「前より短くなったな。でも十四分は切りたい」
ついでに気になった点を二、三言い添える間も、航介は真剣な眼差しで相槌をうっている。真摯に知識を吸収しようという姿勢には好感が持てて、真紘も説明に熱が入った。
気がつけば、昼休みももう半分が過ぎていた。
「航介、飯行った?」
「すみません。俺、今日これなんで」
誇らしげな顔をして航介がリュックからブルーチェックの巾着袋を取り出した。最近料理に凝っているらしく、隙あらば自慢してくるのが鬱陶しい。「成澤先生は料理なんてしないですよね」なんてドヤ顔でマウントを取ってきた日には本気で額に青筋が浮かんだ。
フン、と鼻であしらい、隅にある段ボールの中からカップ焼きそばを引っ掴んだ。一人なら、食べるものに気を遣う必要はない。