無愛想な天才外科医と最高難度の身代わり婚~甘く豹変した旦那様に捕まりました~【職業男子×溺愛大逆転シリーズ】
永遠にも思えた時だった。
ようやく救命隊が到着して、男性がすぐに担架で運ばれると、由惟はやっとまともに呼吸ができた心地がした。
救急隊に状況を説明する真紘の元へ歩み寄った。真紘は肩で息をして、額の汗を拭っている。
「生田目総合病院・脳神経外科医の成澤です。医師として救急車に同乗します。生田目病院にベッドの空きがあるか確認していただけますか?」
「はい、わかりました。ご協力感謝します」
不意に真紘がこちらを振り返った。
唇をかみしめて、苦しげに顔を歪めている。
彼が言うことはもうわかっている。由惟も彼を止めるつもりもない。なのにどうして、真紘はこんなに辛そうな表情をしているんだろう。
「悪い、穂乃花……」
「ううん。私は大丈夫です。成澤さんは、あの患者さんを助けてあげてください」
意識のない父に懸命に呼びかける少女の姿に、かつての自分が重なった。
由惟も、あの時暗い霊安室に横たわる両親に向かって、何度も何度も呼びかけた。でも両親は何度呼びかけても答えてくれなかったのだ。
苦しい記憶が蘇り、鼻の奥がツンとする。
でもあの人は、きっと大丈夫。真紘ならきっと助けてくれる。
祈りを込めて真紘を見つめると、真紘は瞳に強い光を宿してしかと頷いた。
「ああ」
救急隊と共に去っていく真紘の後ろ姿を、由惟はいつまでも見つめていた。
誰かの後ろ姿を見送るのがこんなに寂しいと思ったのは、生まれて初めてだった。
ようやく救命隊が到着して、男性がすぐに担架で運ばれると、由惟はやっとまともに呼吸ができた心地がした。
救急隊に状況を説明する真紘の元へ歩み寄った。真紘は肩で息をして、額の汗を拭っている。
「生田目総合病院・脳神経外科医の成澤です。医師として救急車に同乗します。生田目病院にベッドの空きがあるか確認していただけますか?」
「はい、わかりました。ご協力感謝します」
不意に真紘がこちらを振り返った。
唇をかみしめて、苦しげに顔を歪めている。
彼が言うことはもうわかっている。由惟も彼を止めるつもりもない。なのにどうして、真紘はこんなに辛そうな表情をしているんだろう。
「悪い、穂乃花……」
「ううん。私は大丈夫です。成澤さんは、あの患者さんを助けてあげてください」
意識のない父に懸命に呼びかける少女の姿に、かつての自分が重なった。
由惟も、あの時暗い霊安室に横たわる両親に向かって、何度も何度も呼びかけた。でも両親は何度呼びかけても答えてくれなかったのだ。
苦しい記憶が蘇り、鼻の奥がツンとする。
でもあの人は、きっと大丈夫。真紘ならきっと助けてくれる。
祈りを込めて真紘を見つめると、真紘は瞳に強い光を宿してしかと頷いた。
「ああ」
救急隊と共に去っていく真紘の後ろ姿を、由惟はいつまでも見つめていた。
誰かの後ろ姿を見送るのがこんなに寂しいと思ったのは、生まれて初めてだった。