(一)この世界ごと愛したい
西の戦場へ
「るーうー!」
「うるせえ。なんだよ?」
「出陣命令だってー。」
「またかよ。ついこないだ長期の任務から帰ってきたばっかじゃねえか。」
国王であり、軍事部総司令官のパパからの発令に、るうと二人で頭を悩ませた。
任務後に次の仕事が入ることは珍しいことではないんだけど。
今回はどこか違和感を感じた。
それはるうも同じのようで、渋い顔で出陣についての令書を読んでいる。
「…やな感じがするね。」
「ああ。陛下と話してきたらどうだ?」
「うーん。パパも遠征で、最近中々会えないんだよねー。」
「…お前の予感は当たるから怖いんだよ。」
「思い過ごしだといいんだけど。」
今回の戦は、隣国との領土争い。
そこに私が出陣するのは、確かに理にかなってはいる。領土と民をみすみす奪われるわけにはいかないし。
だけど、国を離れてばかりのパパと私。
もしこの間に強国に攻め込まれたら、急いで駆けつけたって間に合わない可能性も大いにあり得る。
「念のため出陣前にパパに伝令頼んでみる。」
「ああ。」
立場的には私が上のはずなんだけど。
私はるうのこういう立場を鑑みない意見や振る舞いを、とても有り難いと思ってる。