(一)この世界ごと愛したい
「そう言われても、私もそんな伝説があることくらいしか知らないもんー。」
「…けどその火龍が身体にいることは知ってたんだろ?」
「瞳の色で分かるんだって。紅色の瞳が火龍の力の持ち主の証らしいよー。」
「分かった時に言えよ。」
るうが不服そうにぼやくけども。
正直なところ、どうしようもなかったのです。
「国をあげての秘密だからね。たぶんだけど、パパとハルしか知らないんじゃない?ママとアルでさえ知らされてないと思うよ?」
「…マジで?」
「だから言わなかったんじゃなくて言えなかったんです。分かってもらえたかなー?」
「ヤバいくらい重い話なのは分かった。」
ハルは尚も、遠くを見つめたまま。
私も実を言うと、非常に身体が重くて。本当なら今すぐ横になりたいところだけど。
セザールに着くなり、戦に巻き込んでそのまま蜻蛉返りしている二人もさぞ疲れてるだろうから。我が儘は言えない。
「…この辺、街あったよな?」
「え?」
るうがポツリと呟いた。
「ちょっとだけ我慢できるか?」
「…るう。」
「無理なら言え。抱えて走る。」
「大丈夫…です。」