(一)この世界ごと愛したい
旅立ちのとき
楽しい楽しい、少し切ない旅行を終え。
その帰路を辿る私とるう。
別荘を出て、ひたすら馬車に乗って。街へ一泊して。そしてまた馬車で城のある王都を目指す。
「お土産たくさん買えたねー。」
「お陰で持って来た金ほとんどなくなった。」
「るうありがとうー!」
「はいはい。どうせ俺はお前にしか金使うことねえからな。」
お土産も買ってもらったし。街で私がほしいと言うもの全て買ってくれました。優しいるうさんです。
「もうすぐお城に着いちゃうねー。」
「ああ。」
「とりあえずコーヒー飲みたいなー。」
「また考え事か?」
私がコーヒーを欲する時は、大体寝起きか考え事をする時だと知っているるう。
…図星すぎて恥ずかしいです。
「ちょっとね、私が良い人すぎるのが悩みなんだよね。」
「…自分で言うのはどうなんだ。」
「これが本当に、今そこそこ問題な気がしてるんだよー。」
街での私の心象がどうにも不安だ。
戦神とか、国思いの優しい姫とか、女神とか、強く気高い姫とか。もうその他諸々。
アレンデールは開国国家。
様々な国の人々が行き交うことができるオープンな国なので、他国の間者が紛れていないわけがない。
「もう少し悪役っぽい方が都合がいいんだけどなー。」
「…また良くねえこと考えてんな?」
るうが私のほっぺをつねる。
「いひゃいれす。」
「無理すんな。無茶もすんな。」
私を睨みながら言って、手を離す。
あれからるうは、私に必要最低限触れることはない。
甘ったるくて胸焼けしそうな旅行期間を過ごしたけど、まるで夢だったみたい。